花の詩vol.45『イチョウ』(イチョウ科)

 イチョウは中国原産の落葉高木です。世界最古の現生樹種の一つとされ、「生きた化石」とも呼ばれます。

 

 生長が早く、強い剪定をしても大丈夫な点や、燃えにくく大気汚染にも強いなど、街路樹や公園植栽として求められる性質を兼ね備えています。

 

 そのためイチョウは、日本全国幅広く植えられています。

 イチョウの種子は食用になります。いわゆる“ギンナン”です。イチョウは雌雄異株の植物のため、ギンナンがなるのは雌の株だけです。

 

 食べておいしいギンナンですが、種子を覆う黄色い部分には独特な臭いがあります。あの臭いが苦手、という方も少なくないでしょう。

 

 ちなみに、イチョウは裸子植物の仲間ですので、前述の黄色い部分は「果肉」ではありません。種子を覆う「外種皮」と呼ばれる部分で、種子の一部なのです。

 

 また、イチョウは秋になると美しく黄葉します。

 

 黄金色のイチョウ並木も見栄えがしますし、モミジの紅葉とのコントラストも美しい。秋を彩る、大切な存在です。

 

 イチョウの葉も散り始める季節となりました。イチョウが散ると、いよいよ本格的に冬になったな、と感じます。

 

 筆者の住む新発田市板山にも1本の大イチョウがあります。大きさもさることながら、毎年美しい黄葉を見せてくれます。

 

 近くに住む人は「このイチョウが散ると雪が降る」と言います。板山に冬の訪れを告げる木なのです。

板山の大イチョウ
板山の大イチョウ