ツワブキは、キク科ツワブキ属の常緑多年草です。海沿いの草原や崖などに自生しています。
丸くてつやのある、フキのような葉が特徴的です。
古くから庭に用いられてきたツワブキですが、好まれる理由がいくつかあります。
まずは、日陰でもよく育つという点です。高木の真下などに植えても、元気に生育します。
多少日当たりの良い場所の方が花付きは良くなりますが、日当たりが強すぎると葉がやや硬くなり、しなやかな姿が損なわれる場合があります。特に、斑入りのものは日焼けしやすいので注意が必要です。
つややかな葉の美しさを保つためには、むしろ半日陰~明るい日陰くらいの場所が適しています(まったくの日陰では、徒長するばかりで花がつきにくくなります)。
また、日当たり以外の点においても、ツワブキは比較的生育する環境を選びません。植える土質は特に問いませんし(水はけは良いほうが適しています)、前述の通り海辺でも生育しますので、潮風にも強いです。
次に、ツワブキが好まれる理由として、手間がかからない、という点が挙げられます。
ツワブキは常緑多年草であるため、一年中、つやのあるきれいな葉をつけます。冬に多少葉が枯れても、春には新たな葉を出します。大きな葉で地面を覆い隠すため、ツワブキのある所からは雑草も出にくくなります。このことから、ツワブキは「ほったらかし」でも育つ植物といえます。
ただし、ツワブキの繁殖力には注意が必要です。あまり放置しすぎると、増えすぎてしまう場合があります。タンポポのように綿毛で種を飛ばす性質があるため、「いつの間にかこんなところに・・・」ということもあります。増えすぎた場合は株分けを行います。また、種については綿毛が飛ぶ前に花茎ごと切ってしまうのも手です。
また、3つ目の理由として庭に花が少なくなる10月~12月に花をつけるという点も、好まれる理由です。
株の中央から花茎を伸ばして花をつけます。花の色は主に黄色で、白花種も存在します。派手さはありませんが、晩秋~初冬の庭に彩を添えてくれる、貴重な存在です。
~咲くべくも おもはであるを 石蕗(つわ)の花~ 与謝蕪村
咲くとは思っていなかったが、ツワブキの花が咲いているなぁ