花の詩vol.37『サクラ』②(バラ科)

 日に日に気温も高くなり、春の訪れを感じる時期となりました。

 

 日本の春に欠かせない花といえば、やはりサクラではないでしょうか。

 

 今年はウメに続き、サクラの開花も例年よりかなり早くなりそうです。

 日本人は、サクラの花の美しさはもとより、その散り際のはかなさに美を感じ、古来より愛でてきました。

 

 品種により異なりますが、ソメイヨシノであれば開花から約1週間で満開となり、そこからまた1週間ほどかけて花が散っていきます。花をつけるのはたった2週間そこそこなのです。その開花期間の短さゆえに、花見(宴会)好きの日本人たちは、サクラの開花情報を注視するのです。

 

 サクラの散りどきが気になってしまう日本人の心は、今も昔も変わりません。

 

 

 ~ 世の中に 絶えて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし ~ (古今和歌集・在原業平)

   

   世の中に桜など無ければ、春の人々の心はどれほどのどかだったことか。

   (桜があるために、散るのが気になって落ち着かない。)

 

 

 しかし、我々にとってはたった2週間ですが、サクラにとっては十分な期間といえます。

 

 植物が花をつけるのは子孫繁栄のため。サクラは他の植物が花を付けない時期に一気に花を咲かせ、花粉を運ぶ虫たちを独占するのです。花を咲かすというのは、かなりのエネルギーを消費する行為ですので、花粉さえ運んでもらえればあとは散るだけ...ということです。

 

 

 新型コロナウィルスの蔓延を受け、花見の宴会自粛を呼びかける自治体が出てきています。上越・高田城址公園観桜会でも、イベントや露店の中止、宴会の自粛が発表されました。

 

 一刻も早く事態が終息し、サクラの下に人々が集う日が訪れることを願っています。